■私は25年前に登山講座を開設したとき、雨具だけは買わないで! と強調しました。夏の山が終わるまでは登山の雨具はほぼ「雨対応能力」だけでいいのです。「?」と思われる方も多いかと思いますが、山はいつも雨というわけではないので、晴れていても持ち歩くのですから、邪魔なんです。使わないときにも持ち歩く負担があるというマイナスがあるのです。
■でも秋から冬になると雨具としてだけでなく体を濡らさない、湿らさない、体温を奪われない……というような高度な体温維持機能を持った耐候性バリアとしての雨具を「絶対に」用意していただきたいのです。当時、間違いなくそれに見合う雨具はモンベルを世界ブランドにした「ストームクルーザー」でした。1982年の誕生から現在は9世代とか。それが当時は上下セットで2万円でしたが、1年後に北アルプスの稜線に立とうと思ったときには「それ以外の選択はありません」と考えたのです。
■それでとりあえずの雨具を私がどうしたかというと、70リットルや90リットルのポリ袋で理想的なポンチョをつくり、下半身は底を切り開いて東南アジア風のサロン(巻きスカート)に。必要ならさらに胴衣を加えるとビバークにも対応できるという準備をしておいて、皆さんには「コンビニの500円のレインコート」を買っておいてくださいということにしました。
■ちなみに大型ゴミ袋のポンチョは、屋久島で雨に打たれながら歩き続ける中学生たちを見て、70リットルのゴミ袋を1枚切るだけでああいう悲惨な行軍はしなくていいのに、と思ったものでした。ちなみに底辺の片側から30cm上方に30cmの切れ目を入れてかぶってみてください。さらに35cmのところに切れ目をもう1本入れると、それが結び紐になります。